
メールが遅延する原因とは?対策方法やメール配信サービスを利用するメリットを解説
今回は、メールが遅延する原因と対策についてご紹介します。また、メール配信遅延の対策の一つとして役立つメール配信システムを利用するメリットについてもご紹介します。現在メール配信の遅延に困っている方は、是非本コラムをご確認ください。
目次[非表示]
- 1.メール配信の価値はタイムリーな情報提供
- 2.メール配信が遅延する原因
- 2.1.メール配信が遅延する原因1:携帯キャリアなどのガイドラインを守っていないため、受信ブロックされている
- 2.2.メール配信が遅延する原因2:メールサーバ自体のメール配信性能が低く、時間がかかっている
- 2.3.メール配信が遅延する原因3:IPアドレスがブラックリストに登録され、インターネットサービスプロバイダから接続制限されている
- 3.受信者側の問題でメール配信の遅延が発生しているケース
- 3.1.受信者側の環境に問題がある
- 3.2.送信元のIPアドレスがブロックされている
- 3.3.IPスロットリングによる制限がかかっている
- 3.4.グレーリストによって意図的に遅延されている
- 4.メール配信が遅延する場合の対策
- 4.1.携帯キャリアなどのガイドラインに沿ったメール配信環境を準備
- 4.2.複数のIPアドレスによる並列配信、メール配信方法を最適化
- 4.3.IPアドレスがブラックリストに登録されていた場合は解除申請
- 4.4.少量ずつ送信する
- 4.5.配信リストを見直し整理する
- 4.6.IPウォームアップを実施する
- 4.7.メールヘッダーで遅延原因を調査する
- 5.メール遅延を防ぐために配信サービスを利用するメリット
- 6.メール配信の遅延対策はしっかりとおこないましょう
メール配信の価値はタイムリーな情報提供
本コラムをご覧いただいている方の中には、自社でメールサーバを構築したり、外部のメール配信システムを導入したにもかかわらず想定よりも配信速度が遅く、メールが遅延して届いたなどの経験がある方もいるかと思います。
即時性が求められる速報メールやECサイトでの会員登録完了後のトランザクションメールなどは、タイムリーにメール配信されるからこそ、価値のある情報を提供できます。
メール配信が遅延する原因
メール配信で遅延が発生する主な原因は以下の3つが考えられます。
メール配信が遅延する3つの原因
- 携帯キャリアなどのガイドラインを守っていないため、受信ブロックされている
- メールサーバ自体のメール配信性能が低く、時間がかかっている
- IPアドレスがブラックリストに登録され、ISPから接続制限されている
以下で詳しく原因を解説いたします。
メール配信が遅延する原因1:携帯キャリアなどのガイドラインを守っていないため、受信ブロックされている
昨今、迷惑メールの増加に伴い携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダなど、送信先による迷惑メール対策が厳しくなってきています。 携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダは、”大量の宛先不明を含むメールは送信しない”、”送信ドメイン認証である「SPFレコード」を設定する”、など、独自のガイドラインを設け、迷惑メール対策をおこなっています。このガイドラインを守らずにメール配信をしてしまった場合、メールの送信元は“迷惑メール業者である”と判定されてしまいます。
“迷惑メール業者である”と判定された送信元に対して、携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダ側では、「受信ブロック」や「通信制限」といった処置をとります。
この処置の結果、メールの配信遅延や不達に繋がっているのです。
メール配信が遅延する原因2:メールサーバ自体のメール配信性能が低く、時間がかかっている
メール配信が遅延してしまう原因の1つに、メールサーバの配信性能が挙げられます。メルマガの一斉配信などにより、サーバの制限を越える利用をしてしまうと、通信制限のような状態となり、メール配信を処理しきれずに遅延が生じてしまいます。
特にコストを抑えるために無料や安価なメールサーバを利用した結果、配信速度が遅くなるケースがよく見られます。「メール配信のボリューム」や「送信完了時間」といった自社の要望と、利用するメールサーバの配信性能を照らし合わせ、要望にあった使い方ができるメールサーバを利用することが重要です。
メール配信が遅延する原因3:IPアドレスがブラックリストに登録され、インターネットサービスプロバイダから接続制限されている
ブラックリストとは、スパムやなりすましメールを配信している送信者のIPアドレスやドメイン名を登録した受信拒否リストのことを指します。通常は、スパムメールやウィルスメールなど悪質な迷惑メール送信者が登録されますが、宛先不明のメールアドレスへの配信やスパムトラップにメールを送信し続けてしまうと、IPアドレスがブラックリストに登録されてしまいます。メール送信に使うIPアドレスがブラックリストに登録されてしまった場合、メールの遅延はもちろん特定のドメインもしくはどのドメイン宛てに送信してもほぼ届かない状況になってしまいます。
まずは、ブラックリストに登録されないようなメール配信を実施することが大切です。
受信者側の問題でメール配信の遅延が発生しているケース
メール配信の遅延は、送信者側だけでなく受信者側の問題が原因となるケースもあります。
受信者側の環境に問題がある
例えば、受信者のメールボックスの容量がいっぱいで受信できない場合や、受信側のメールサーバに負荷がかかりすぎている場合など、受信環境に問題がある場合はメール配信が遅延する可能性があります。
送信元のIPアドレスがブロックされている
各携帯キャリアは、スパム対策のガイドラインをそれぞれ設けています。このガイドラインに従い、適正でないと判断される送信元には受信制限やブロックをしています。ガイドラインはキャリアごとに基準が異なるため、キャリア宛のメールのみ遅延が生じている場合はキャリアからの受信制限が疑われます。
IPスロットリングによる制限がかかっている
「IPスロットリング」とは、携帯キャリアやISPなどがおこなうスパム対策の1つで、一定時間内に受信できるメールの数に制限をかけることを指します。上限を超える数を送信すると、一時的にその送信元からのメールが受信拒否されることとなり、遅延が生じます。
グレーリストによって意図的に遅延されている
「グレーリスト」とは、スパム対策の1つで、意図的に受信を遅延させることを指します。グレーリスト化されている特定の送信者からのメールは、受信サーバ側で一時的に拒否しますが、これは時間をあけて再送信すれば受け入れられます。スパムメールではなく、正当なメール送信者であれば再送信するという前提のもと実施されます。
メール配信が遅延する場合の対策
それぞれの原因に対する対策をご紹介します。内容を確認のうえ、自社に適した対策を実施してください。
携帯キャリアなどのガイドラインに沿ったメール配信環境を準備
以下ガイドラインの参考サイトをご参照いただき、自社のメール配信方法が適切であるか確認してください。また、外部のメール配信システムを導入される場合もガイドラインに沿っているか、サービス提供元へ確認した上で、サービスを選定することも必要です。
※外部サイトが開きます
これらのガイドラインは、スパム対策という特性からいつ内容変更されるか分からないため、常に意識する必要があります。
複数のIPアドレスによる並列配信、メール配信方法を最適化
メールサーバのメール配信性能が低い場合、物理的にメールサーバ台数を増やしたり、複数のIPアドレスで並列にメール配信するのも対処方法といえます。しかし、各携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダによって接続制限仕様も異なるため、メール配信方法を配信先毎に最適化できるメール配信エンジンを利用するのも解決策のひとつです。
IPアドレスがブラックリストに登録されていた場合は解除申請
メールサーバのIPアドレスがブラックリストに登録されているかのチェックは、下記に参考ページとして紹介するブラックリストを管理している「Spamhaus」という団体やその他、多数の団体を一括でチェックできるページなどで、チェックすることができます。
※外部サイトが開きます
- Blocklist Removal Center ? The Spamhaus Project
- Spamhausという団体のサイト、IPアドレスのブラックリスト登録チェックページ
- Email Blacklist Check ? MXtoolbox
- 多数の団体を一括でチェックできるブラックリスト一括チェックページ
IPアドレスがブラックリストに登録されてしまっていた場合、早急に該当ブラックリスト管理団体のページから解除申請をおこなう必要があります。なお、ブラックリストに登録されてしまう基準は公開されていないため、原因を特定することは難しい場合が多いと言えます。
少量ずつ送信する
現在の配信環境のままでメール遅延を防ぐ方法としては、少量ずつメールを送信する方法が有効です。少量ずつの送信であれば、レンタルサーバの送信数制限にかかることもなく、受信側の携帯キャリア等の受信制限にもかかりにくくなります。
配信リストを見直し整理する
無効となったメールアドレスが含まれる配信リストで、送信を続けると、スパム業者と判断されるリスクが高まります。したがって、配信リストは定期的に整理をし、宛先の存在しないアドレスは速やかに削除しましょう。
IPウォームアップを実施する
少数の受信者への送信から始め、数ヵ月かけて徐々に送信数を増やして実績を上げ、IPレピュテーションを向上させる試みを「IPウォームアップ」と呼びます。メールプロバイダーは、送信状況をチェックし信頼性の評価をおこないます。これにより、携帯キャリアの受信制限やIPスロットリング、グレーリストを回避できる可能性を高めます。
メールヘッダーで遅延原因を調査する
配信したメールのヘッダ情報には、メールの経路情報が含まれています。メールが届くまでに経由したサーバと通過にかかった時間を確認することができるため、遅延原因の特定に役立つでしょう。
メール遅延を防ぐために配信サービスを利用するメリット
メールの配信遅延が生じる原因は複数あり、対処に時間がかかる場合もあります。また、遅延がたびたび起こるような状況は、ビジネスにも支障をきたすためできる限り避けたいものです。そもそも、大量のメール配信をおこなう場合、レンタルサーバや社内のメールサーバを使うのは適切とは言えません。遅延なく大量のメールを送りたい場合は、強固なシステム基盤やそれぞれのキャリアに最適化した配信アルゴリズムなどを備えたメール配信サービスの利用が有効です。さまざまなメール配信サービスが提供されているので、利用用途や機能なども加味して検討すると良いでしょう。
費用はかかりますが、自社のメールサーバの運用などにかかる手間やコスト、メール配信にかかる人的コストなどを総合的に考えると、業務改善につながるケースも多く見られます。
メール配信の遅延対策はしっかりとおこないましょう
いかがでしたでしょうか。ご紹介した送信側の対策はどれも今すぐに始められる対策であり、送信側と受信側の双方にメリットがある内容のため、ぜひ実践してみてください。
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