
SPFとは?SPFの仕組みや注意点を分かりやすく解説
今回は、メール配信設定において重要な項目の一つである送信ドメイン認証技術 「SPF」について解説します。本コラムで「SPF」について正しく学び、メール配信のセキュリティ対策をしておきましょう。
目次[非表示]
- 1.SPF (Sender Policy Framework)とは?
- 1.1.SPFが注目される背景
- 1.2.SPFの仕組み
- 1.3.SPFレコードを設定しないと「なりすましメール」扱いに
- 1.4.DKIM・DMARCとの違いと関係性
- 2.SPFを利用する際の注意点
- 2.1.全社で一斉に導入する
- 2.2.社内ネットワークを使用する
- 3.アララ メッセージで迷惑メール対策
- 4.まとめ
SPF (Sender Policy Framework)とは?
SPFとは「Sender Policy Framework」の略で、メールの送信元が正当か(なりすましではないか)確認するための仕組みのことを指します。送信元のシステムが認知しているIPアドレスから送信されたメールかどうかを認証する、送信ドメイン認証技術の一つです。
SPFが注目される背景
メールはビジネスにおいて欠かせないコミュニケーション手段ですが、その一方で「なりすましメール」や「フィッシング詐欺」の温床にもなっています。送信元アドレスが偽装されたメールは、一見すると正規の送信者から届いたように見えるため、受信者が誤って開封やリンクのクリックをしてしまうリスクがあります。
こうした被害を防ぐために広く普及しているのが、送信ドメイン認証技術の一つであるSPFです。SPFは送信元が正規のメールサーバであるかを検証し、不正なメールを見抜く重要な役割を果たしています。
SPFの仕組み
メール送信側は、あらかじめメール送信前に「SPFレコード」と呼ばれる送信側メールサーバーのIPアドレスのリストをDNSに登録しておいた上で、メールを送信します。メール受信側は、メール受信時に送信側メールサーバーのIPアドレスと、送信側DNSのSPFレコードの内容を付き合わせ、リストに掲載されているIPアドレスからのメール送信であることを確認します。
送信側の動き
送信側は、メールを送る前にあらかじめ自社で使用するすべてのメールサーバのIPアドレスを自社のDNSサーバにSPFレコードとして登録し、「このIPアドレスから送信されるメールは正規のものです」と宣言します。このSPFレコードが準備された状態でメールを送信します。
受信側の動き
受信側のメールサーバは、メール受信時に送信側ドメインのSPFレコードをDNSサーバに問い合わせます。送信側IPアドレスがSPFレコード内に掲載されていれば、そのメールを正規のものとして処理します。掲載されていない場合は「送信ドメインの詐称」と判断し、受信拒否や迷惑メールフォルダへの振り分けなどの対応がおこなわれます。
SPFレコードを設定しないと「なりすましメール」扱いに
近年、大きな問題となっている迷惑メールの一種に「なりすましメール」があります。これは、第三者が有名企業や公的機関を装って送信するメールのことで、送信元の差出人名やメールアドレスを偽装し、受信者に開封させることでランサムウェア感染やフィッシング詐欺などをおこなうことを目的としています。「なりすましメール」は、送信サーバそのものを乗っ取っているわけではなく、差出人情報だけを詐称している場合がほとんどです。そのため、受信側のメールサーバは受信時に送信サーバのIPアドレスを確認し、正規の送信元かどうかを判断します。
しかし、送信元のDNSサーバにSPFレコードが設定されていない場合、受信側は送信元IPアドレスの正当性を確認できません。その結果、「なりすましメール」の可能性があるとみなされ、迷惑メールとして扱われる恐れがあります。逆に、受信したメールの送信元IPアドレスがSPFレコードに登録された情報と一致すれば、正規のメールとして認識されます。
メールを送信する際には、SPFが確実に設定されているかを確認するようにしましょう。
DKIM・DMARCとの違いと関係性
SPFは送信元IPアドレスの正当性を検証しますが、メールの内容そのものの改ざんまでは防げません。そこで用いられるのが DKIM(DomainKeys Identified Mail) です。DKIMは電子署名の技術を利用し、送信ドメインの正当性に加えて、メール本文やヘッダーが改ざんされていないかを確認します。
さらに DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance) は、SPFやDKIMの認証結果をもとに「認証に失敗したメールをどのように処理するか」を受信側に指示できます。また、レポート機能により、認証失敗メールの送信元や状況を可視化することが可能です。
まとめると、それぞれの役割は以下の通りです。
- SPF:送信元IPアドレスの正当性確認
- DKIM:メール送信元ドメインの当人性確認とメール内容の改ざん検知
- DMARC:SPF・DKIMの結果をもとに最終的な判定および受信状況のレポート提供
このように、SPF・DKIM・DMARCは互いに補完し合い、不正メール対策の精度を高めています。
SPFを利用する際の注意点
SPFを運用する際には、以下の2点に注意するようにしましょう。
全社で一斉に導入する
SPFは送信ドメインごとに設定が必要です。部署やシステム単位でバラバラに導入すると、一部のメールだけ認証に失敗し、顧客や取引先に届かない恐れがあります。導入時は、全社的に送信経路を洗い出し、関係部署と連携して統一的に設定することが重要です。
社内ネットワークを使用する
SPFレコードに登録されていないSMTPサーバーを使用してメールを送信すると、SPF認証が失敗します。可能な限り社内ネットワークやVPN経由で、外部環境から送信する場合も必ずSPFレコードに登録済みのメールサーバ経由でメールを送出する運用が望まれます。
アララ メッセージで迷惑メール対策
当社が提供する「アララ メッセージ」は、大量・高速配信や高い到達率の確保をサポートするだけでなく、SPFをはじめ、DKIMやS/MIMEなどの迷惑メール対策機能を備えたメール配信システムです。配信メールが迷惑メール扱いされてしまいお困りの方はもちろん、これからメール配信を始める方にも最適なサービスです。
■その他セキュリティ対策記事
・DKIMとは?迷惑メール対策に
・STARTTLSとは?メールを暗号化する仕組みをご紹介
・S/MIMEとは?電子メールのセキュリティ対策!
まとめ
SPFは、なりすましメール防止の第一歩であり、顧客やブランドを守るために欠かせない技術です。正しく設定することで、セキュリティ強化だけでなく、メールの到達率向上にもつながります。SPFをはじめとする迷惑メール対策を網羅したメール配信システムをお探しの企業様は、ぜひ 「アララ メッセージ」の導入をご検討ください。
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