
MTA(メール転送エージェント)とは?配信の仕組み・役割をわかりやすく解説
普段何気なくやり取りしている電子メールは、「MTA」をはじめとする複数のソフトウェア(プログラム)により実現できていることはご存知でしょうか。
本記事ではMTAとはどんなソフトウェアなのか、メールの基本的な仕組みと共に分かりやすく解説していきます。
メールマガジンなど多くのユーザーへメールを配信する機会が多い企業様に有益な情報となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.MTA(Mail Transfer Agent)とは?
- 2. メール配信における、MTAの役割は?
- 2.1. 【基本】メール配信の仕組み
- 2.2.MTAの役割
- 3.MTAの主な機能
- 4.MTAの代表的な例
- 5.クラウド型の配信サービス(MTA)を利用して、メール配信をおこなメリット・デメリット
- 6.クラウド型のメール配信サービスを選ぶときのポイント
- 6.1.目的に合った機能が搭載されているか
- 6.2.メールの到達率をどのようにして高めているか
- 6.3.セキュリティ対策は十分におこなわれているか
- 6.4.サポート体制は充実しているか
- 7.クラウド型のメール配信サービスなら、アララ メッセージ
- 8.まとめ
MTA(Mail Transfer Agent)とは?
MTAとはMail Transfer Agentの略で、日本語では「メール転送エージェント」と呼ばれる、メールの配送・転送を担うソフトウェアのことです。
基本的に送信者が作成したメールは、「SMTPサーバ」というサーバを通して指定した相手に届けられます。
そのSMTPサーバに含まれている複数のソフトウェアの1つがMTAであり、重要な役割を担っています。
詳細は後述しますが、MTAには大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」という2通りの提供形態が存在します。
どちらも異なるメリット・デメリットがあるため、自社の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
メール配信における、MTAの役割は?
先述の通りMTAはSMTPサーバにおいて重要なソフトウェアであり、MTAが正しく機能しなければメールを送ることができません。
MTAの重要性をより深く理解するために、以下で解説するMTAの具体的な役割や機能について、メール配信の仕組みと共に知っておきましょう。
【基本】メール配信の仕組み
普段は迅速で正確なメールのやり取りを当たり前のようにおこっていますが、これは送信用サーバや受信用サーバに含まれる複数のソフトウェアの機能で成り立っています。
MTAが関わるのは、送信用サーバである「SMTPサーバ」です。
SMTPサーバにはMTAの他にMUAやMDAという機能が含まれており、それぞれ以下のような動作でメールのやり取りを実現してくれています。
- MUA
Mail User Agentの略で、ユーザーがメールを読んだり作成したりするメールソフト(Outlook、Mac Mailなど)です。ユーザーがMUAを使って作成・送信したメールを、SMTPサーバへアップロードします。
- MTA
いわゆる「メールサーバ」や「SMTPサーバ」と呼ばれる部分で、SMTPプロトコルを使用してメールを送信します。DNSサーバに問い合わせをおこない、送信先メールサーバのIPアドレスを取得します。取得したIPアドレスをもとに、MUAから受け取ったメールを宛先のメールサーバへ転送します。
- MDA
Mail Delivery Agent の略で、MTAから転送されたメールを、該当のメールボックスへメールを格納します。ローカル配送プログラムで、システム間のメール送信には関与しません。
こうして送られたメールは、受信者側の「POP3」または「IMAP」という受信用サーバで受信され、MUAで内容が確認されるという仕組みになっています。
MTAの役割
MTAは、ネットワーク上でメールを他のMTAにメールを配送したり、MDAへ転送・配送したりする役割を担っています。
郵便物に例えると、ポスト(MUA)に入れられた郵便物を仕分けて配達員(MDA)へ渡す郵便局のような立ち位置です。
メールサーバの中核的な役割のほとんどをMTAが担っており、これが機能しなければメールの送信はできません。
MUAからメールが送られてきたら、ドメインを元にメールの転送経路を決定してSMTPで転送します。
その際、宛先不明やエラーなどで指定した相手にメールを届けられない場合は Return-Path(送信失敗したことを伝える返信先)へエラーメールを送るというのがMTAの主な仕事です。
MDAとセット・一体型になっている場合も多く、SMTPサーバやメールサーバそのものをMTAと呼ぶこともあります。
MTAの主な機能
MTAがおこなう仕事内容としてはシンプルですが、大量のメールを様々な宛先へ確実に届けるという役割上、高いレベルのセキュリティが求められます。
そのため、MTAはただ転送・配信するだけでなく以下の通り多彩な機能を含んでいることが特徴です。
- ルーティング
MUAまたは別のMTAからメールを受信して、宛先のアドレスから転送先を調べて決定する機能
- ローカル配送
宛先がローカルにある場合はメールをMDAへ転送する機能
- アドレス書き換え
設定に応じてエンベロープ(メール本体に付加するデータ)やヘッダのアドレスを適切な形に書き換える機能
- メールキューイング
メールをキュー(メールが一時的に待機する場所)に追加して、転送に備えたり一定期間内に繰り返し転送をおこなったりする機能
- エラーの応答
宛先にメールが届かなかった際にバウンスメールを返す機能
- アクセス制御
不審なユーザーからのアクセスやSMTPリレー、迷惑メールを制限する機能
- フィルタリング
IPアドレス、ドメイン、ウイルスまたはスパムの可能性などの情報を元にメールをフィルター処理する機能
- 監査
誰が、いつ、どこから、どんなメールを送信したかログを残して追跡できるようにする機能
MTAの代表的な例
MTAは製品として複数の種類が出回っており、それぞれ異なる特徴を持っています。
ここでは、MTAの代表的な3種についてご紹介します。
Sendmail
Sendmail(センドメール)は、1983年にリリースされた歴史の長いMTAです。
事実上は世界的に標準ソフトウェアとして認識されており、現在もなお世界中の多くのメールサーバで使われています。
機能性・柔軟性が共に優れており、近年は使われていないようなメール送信プロトコルもサポートしています。
その反面、設定ファイルの書き方が複雑なため悩まされるユーザーも多く、運用管理には高いスキルが求められることが難点です。
qmail
qmail(キューメイル)は、1995年に登場したオープンソース型のMTAです。
実質的標準ソフトウェアでありがながら扱いが難しいSendmailのデメリットを踏まえ、米イリノイ大学の D.J.Bernstein氏により開発されました。
qmailは設定ファイルの書き方が簡潔・用意なため運用管理の難易度が低く、シンプルな仕様であり、かつセキュリティや処理能力も優れていることが特徴です。
1998年のバージョンを最後に開発が終了していますが、その後もコミュニティにより様々なパッチが開発されています。
Postfix
Postfix(ポストフィックス)は、1999年にリリースされたオープンソースのMTAです。
Sendmailの後継を目指して開発された経緯から操作性はSendmailと似ており、ファイルの互換性も保っています。
加えて処理能力の高さや管理のしやすさ、そして迷惑メール対策として多彩な機能が搭載されていることも特徴です。
設定ファイルの書き方が簡単で運用管理やしやすく、セキュリティやパフォーマンスの高さも兼ね備えているため、現在最も人気を集めているMTAの1つでもあります。
クラウド型の配信サービス(MTA)を利用して、メール配信をおこなメリット・デメリット
クラウド型とはインターネット上に構築されたメール配信サービスのことで、自社でサーバを構築しなくてもすぐに導入できます。
クラウド型のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
クラウド型はすでにシステムが構築されているため、「導入コストがかからない」というメリットがあります。
また、サービス提供会社側で配信環境のメンテナンスがおこなわれるため、維持管理のための人員確保の必要性や人件費は発生しません。
利用には月額料金がかかりますが、導入・維持を合わせたトータルコストとしてはオンプレミス型と比較して大幅に低いと言えます。
デメリット
クラウド型のデメリットは、「オンプレミス型よりも柔軟性に欠ける」という点です。
サービス提供会社が構築したシステムを使う以上、自社の要望に100%沿った内容へカスタマイズすることはできません。
中にはオプション機能で機能を拡張できるサービスもありますが、その分追加料金が発生するため予算との兼ね合いで利用を検討する必要があります。
クラウド型のメール配信サービスを選ぶときのポイント
顧客や事業の関係者など、多数の相手にメールを一斉送信する機会が多い企業は、配信環境を整える手間が不要なクラウド型のサービスがおすすめです。
しかし同じクラウド型でもサービス内容の詳細は提供会社によって様々であるため、以下のポイントを押さえながら自社に合ったものを選びましょう。
目的に合った機能が搭載されているか
メール配信サービスを導入する前に、まずは導入する目的や解決したい課題を明確化しておきましょう。
そのうえで、目的や課題解決に適した機能を搭載しているものを選ぶ必要があります。
MTAはこれまで解説してきた通り、作成したメールを相手の受信用サーバに送信する機能を保有している一方、メールの作成などはおこなえません。
たとえば、メール配信だけでなく、メールの作成から一貫しておこないたい場合は、管理画面もついたメール配信サービスを選ぶと良いでしょう。
メールの到達率をどのようにして高めているか
メールは大量に配信すると、携帯キャリアやプロバイダからスパムメールと判定されてブロックされる可能性があります。
顧客や関係者へ確実にメールを届けるためには、安定した高い到達率を実現するサービスを選ぶことが大切です。
スパムと判定されないように、一度にメールデータを受け渡す量や間隔を調整しながら配信したり、スパムとみなされないように複数のIPアドレスを用いて分散配信できたりといった工夫がされていれば、安定した到達率に期待ができます。
セキュリティ対策は十分におこなわれているか
インターネット上のシステムを利用するクラウド型のサービスにおいて、顧客や関係者のメールアドレスが漏えいしないよう十分な注意が必要です。
個人情報とも言えるメールアドレスが万が一にも漏えいすれば、自社の信頼性が大幅に失われることになります。
SSL通信による暗号化の実施でメールの盗み見対策をおこなっているか、BCP対策を実施している堅牢なデータセンサにサーバが格納されているかといったポイントにも注目し、セキュリティ強度の高いサービスを探しましょう。
サポート体制は充実しているか
何らかの不具合が起きてメールを送信できなくなった場合、すぐに問い合わせて対応してくれるような体制が整えられているサービスを選ぶとより安心です。
24時間・365日いつでも相談可能な窓口を設けているサービスであれば、いつトラブルが発生しても迅速な解決に期待ができます。
クラウド型のメール配信サービスなら、アララ メッセージ
「アララ メッセージ」は、メールの大量・高速配信や到達率の向上をカバーするクラウド型のメール配信サービスです。
高度な処理能力と国内各種ガイドラインに沿った自社開発のMTAを保有しており、最適なチューニングで、配信遅延・不達のリスクを最小限に避けて円滑なメールマーケティングの実現をサポートいたします。
STARTTLSによるメール内容の暗号化、 SPFやDKIMを使った送信ドメイン認証によるなりすましメール対策など、セキュリティ対策も万全です。
24時間・365日のシステム監視体制を取っていますので、安心してご利用いただけます。
まとめ
「MTA」とはメール送信用サーバに含まれるソフトウェアの1つで、作成したメールを相手の受信用サーバに配送したり送信エラーが起きたらエラーメッセージを返したりする役割があります。
他にもスパムメールと判定したメールをフィルター処理したり、不審なアクセスを制限したり、セキュリティを向上させる機能も有した重要なソフトウェアです。
MTAの提供形態には自社で構築するタイプとクラウド型のサービスを利用するタイプがありますが、大量のメールを高頻度に配信する企業であればクラウド型がおすすめです。
高い到達率と安全性に優れたクラウド型サービスをお探しの方は、ぜひアララ メッセージをご利用ください。
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