
メールサーバとは?設定・確認方法や種類、仕組みを初心者向けに解説
メールは、インターネット環境さえあれば場所を問わず送受信できるため、「仕組みもきっと簡単だろう」と思われがちです。しかし実際には、メールサーバが中心となって動作し、複数の工程を経てメールが届く仕組みが成り立っています。メールの安全性や確実な送受信を支えているのも、このメールサーバの重要な役割です。
本記事では、メールサーバとは何か、その仕組みなどを分かりやすく解説します。
さらに、運用のポイントやメールサーバの設定方法についても紹介し、スムーズなメール環境の構築に役立つ情報をお届けします。
目次[非表示]
- 1.メールサーバーとは何?
- 2.メールの送受信の仕組み
- 3.メールサーバーの種類
- 4.メールサーバとメーラーの違い
- 5.メールサーバーの設定準備・接続方法
- 5.1.①独自ドメインでメールアカウントを発行する
- 5.2.②メーラーからメールサーバへの接続
- 5.2.1.IMAP方式とは
- 5.2.2.POP方式とは
- 5.2.3.メールサーバーの接続方式のメリット・デメリット
- 6.メールサーバの設定方法|事前に準備すべき情報
- 6.1.Windows端末におけるOutlookへのメールサーバ設定方法
- 6.2.Gmailへのメールサーバー設定方法
- 6.2.1.PC/ブラウザ版
- 6.2.2.スマートフォン/AndroidOS版
- 7.メールサーバ設定後に生じやすいエラーコード
- 8.メールサーバーに接続できない場合の対処法
- 8.1.①インターネットに接続できない・不安定
- 8.2.②メールサーバー側のメンテナンス・障害などの不具合が発生している
- 8.3.③ドメインやプロバイダー・メールアカウントの契約期限が終了している
- 8.4.④メーラーの設定が誤っている
- 8.5.⑤セキュリティ対策ソフトによる接続不可
- 9.メール配信に関するお悩みは"アララ メッセージ"
- 10.まとめ
メールサーバーとは何?

メールサーバーとは、メール送受信や保存などの役割を担うサーバです。私たちが普段メールを送る際、送信ボタンを押せば「すぐに相手に届く」と感じますが、その裏側ではメールサーバーというコンピューターがデータを運んでいます。これを現実世界に例えると、まさに郵便局と郵便配達員の関係と同じです。
・送信(差出し):あなたがメールを送ると、まずは「送信側のメールサーバー(最寄りの郵便局)」がそれを受け取ります。
・転送(配送):そのサーバーは、宛先を見て「受信側のメールサーバー(相手の住む地域の郵便局)」へとインターネットを通じてデータを転送します。
・受信(配達):最後に、受信側のサーバーが相手のパソコンやスマホ(家のポスト)へメールを届けます。
このように、私たちが意識しないところで、「受け取り・仕分け・配送」を確実に行っているのがメールサーバーの役割なのです。
メールの送受信の仕組み

メールサーバの役割を、もう少し詳しく見ていきましょう。メールサーバは、送信側のメールサーバと受信側のメールサーバという2つの拠点で動作しています。ユーザーがメールを作成して送信ボタンを押すと、まず送信者側のメールサーバがメールを受け取り、インターネットを経由して相手のメールサーバへと転送します。その後、受信側のメールサーバがメールを受信し、受信者のメールアプリやデバイスへ確実に届ける仕組みです。さらに、メールサーバには重要なセキュリティ機能も備わっています。迷惑メールやスパムメール、不正アクセスのリスクがあるメールなど、セキュリティに問題があると判断されたメールは、メールサーバ側で自動的にブロックされます。
このように、メールサーバは「メールを届ける」だけでなく、安全なメール環境を維持する役割も担っています。
メールサーバーの種類

メールサーバは受信者側と送信者側の2か所にあると前述しましたが、実際にはさらに4つのサーバに分類され、それぞれが異なる役割を担っています。ここでは、メールの送受信を支える4種類のメールサーバについて、特徴とともに詳しく見ていきましょう。
①SMTPサーバ【メールを送信するサーバ】
SMTPサーバは、メールを送信する際に必ず通過する送信専用のメールサーバです。メールの送信は、「SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)」という仕組みに従って行われるため、SMTPサーバと呼ばれています。送信ボタンを押したメールを受け取ると、送信先のメールサーバを照会したのちに相手側(受信者側)のメールサーバに届けるのが主な役割です。
②POPサーバ【メールをダウンロードして保管する】
POPサーバ(POPメールサーバ)は、受信したメールをユーザーの端末にダウンロードし、受信ボックスへ届ける役割を担うメールサーバです。メールを端末に保存した後、サーバ側にはメールを残さないのが一般的なため、容量は少なくて済むのが特徴です。ただし、メールデータが保存された端末でしか内容を確認できないため、複数のデバイスでメールを確認するには不向きです。
③IMAPサーバ
IMAP(Internet Message Access Protocol)は、POPサーバと同様にメールを受け取り、該当アドレスへ届けますが、大きな違いは受信メールをサーバ側に保存する点です。サーバにメールデータを残したまま閲覧するため、スマホ・PC・タブレットなど複数のデバイスでメールを同期できるのが最大のメリットです。スマホ普及とマルチデバイス利用の一般化に伴い、近年はIMAP方式のメールサーバが主流となっています。
④DNSサーバ【宛先の照合】
DNSサーバは、受信者側のメールサーバの場所を確認する役割を果たしています。メールアドレスの@以降、つまりドメイン名とIPアドレスを照会し、正しい宛先にメールを届けることができます。DNSは、いわば「インターネット上の住所録」のような存在であり、メールがどのサーバに向かえばよいのかを案内するナビゲーターの役割を担っています。
メールサーバとメーラーの違い
メールサーバとよく混同されがちな存在に、メーラー(メールソフト)があります。メールを作成、編集し、メールサーバとの間で送受信をおこなうのがメーラー(メールソフト)の役割です。普段私たちがメールを使う際、メールサーバを直接操作することはなく、メーラーを通じてやり取りをしています。GmailやYahoo!メールなど、一般的に使われるメールサービスでは、ユーザーがメールサーバの仕組みを理解していなくてもすぐにメールを使い始められるよう工夫されています。しかし、ビジネスシーンでは メーラーとメールサーバを適切に接続するための設定(SMTP・IMAP・POP など) が必要になるケースが多く、ここでメールサーバに関する知識が重要になります。このように、メーラーは「操作するためのツール」、メールサーバは「メールを送受信するための仕組み」として役割が分かれており、両者が連携することで日常的なメール利用が成り立っています。
メールサーバーの設定準備・接続方法

ここからは、メールサーバの設定・接続方法をご紹介します。
ビジネス用途で信頼性を高めるためには、独自ドメイン(@your-company.jpなど)のメールアドレスを使用するのがおすすめです。フリーメールよりも企業としての信用度が上がり、迷惑メールに分類されにくくなります。設定時には、契約したサーバ会社から通知される「受信サーバ名(IMAP/POP)」、「送信サーバ名(SMTP)」、「ポート番号」、「ユーザー名(メールアドレス)」「パスワード」などの情報が必要です。これらを正確に入力することで、メールの送受信がスムーズにおこなえるようになります。
①独自ドメインでメールアカウントを発行する
まずは、メールアドレス(メールアカウント)を発行しなければなりません。GmailやYahoo!メールなど、各サイトにアクセスして必要情報を入力し、設定していきましょう。
②メーラーからメールサーバへの接続
メーラー(メールの作成・送受信・管理をおこなうソフトウェア)からメールサーバに接続する方法は、IMAP方式またはPOP方式のいずれかとなります。設定時には、いくつかの基本情報を正確に入力する必要があります。例えば、受信サーバ名(IMAPまたはPOP)や送信サーバ名(SMTP)、それぞれに対応するポート番号(例:IMAP 993/POP 995/SMTP 587など)を確認します。また、ユーザー名(通常はメールアドレス)とパスワードを入力し、認証方式(SMTP認証)や暗号化設定(SSL/TLSまたはSTARTTLS)を有効にすることが推奨されます。これらの設定が正しくおこなわれることで、安全かつ確実にメールを送受信できるようになります。
IMAP方式とは
IMAP方式は、インターネットを介してメールサーバに接続し、メールサーバ上にあるデータを参照してメールを管理する方法を指します。メールデータは端末にダウンロードしないため、端末の容量を気にする必要がありません。また、複数の端末で同じメールを管理したい場合に適しています。ただし、メールを確認したい時はインターネットにつなげる必要があります。
POP方式とは
IMAP方式とは違い、メールサーバからメールをダウンロードして管理する方法を指します。一度メールサーバから受信したメールであれば、インターネット環境が整っていない場所でも端末から確認できるというメリットがあります。ただし、複数の端末から同じメールを管理することはできません。
メールサーバーの接続方式のメリット・デメリット
方式 | メリット | デメリット |
IMAP 方式 | ・メールデータのダウンロードが不要 ・複数の端末で同じメールを確認・同期ができる | ・インターネット接続が必要 ・サーバの容量制限に注意が必要 |
POP 方式 | ・インターネット接続が不要 ・ローカルでの管理のため、処理速度が速い | ・複数端末での運用に不向き ・端末の容量制限に注意が必要 |
メールサーバの設定方法|事前に準備すべき情報

メールサーバの設定が完了したら、次におこなうのがメーラー側への設定です。メーラーの設定は難しいものではありませんが、メール送受信トラブルを防ぐためにも、事前に必要な項目をしっかり確認しておきましょう。一般的なメール設定では、以下のようなメールサーバ情報を入力します。
- 受信サーバ名(IMAP/POP)
- 送信サーバ名(SMTP)
- 各サーバのポート番号
- 暗号化方式(SSL/TLS)
- ユーザー名(通常はメールアドレス)
- パスワード
これらのメールサーバ情報は、契約時に送付される登録完了メール、契約書類、または管理画面(コントロールパネル)で確認できます。メールサーバ設定でよく起こるトラブルの多くは、入力ミスによるものです。特にポート番号や暗号化方式が異なると、メールが送信できない・受信できないといったエラーにつながります。そのため、メーラーの設定を始める前に、メールサーバ情報をすべて正確に照合することが非常に重要です。
Windows端末におけるOutlookへのメールサーバ設定方法
Windows端末でOutlookへのメールサーバの設定の流れは以下の通りです。
- 端末でOutlookを開く
- 「ファイル」から「アカウント」を選択しクリックする
- メールアドレスを入力する
- 「接続」をクリックし、メールアドレス発行時に決めたパスワードを入力する
- 「完了」をクリックする
Gmailへのメールサーバー設定方法
Gmailの設定方法については、ブラウザ版とスマートフォン(AndroidOS版)それぞれご紹介します。
PC/ブラウザ版
- ブラウザからGmailにログインする
- 「設定アイコン」から「すべての設定を表示」を選ぶ
- 「アカウント」もしくは「アカウントをインポート」を選ぶ
- 「他のアカウントでメールを確認」の部分の「メールアカウントを追加する」をクリック
- メールアドレスを入力する
- 画面の手順に沿って進める
スマートフォン/AndroidOS版
- AndroidのスマホまたはタブレットでGmailアプリを開く
- 右上にある「プロフィール写真」にタップする
- 「別のアカウントを追加」を選ぶ
- 追加するアカウントの種類を選択し、画面の手順に沿って進める
メールサーバ設定後に生じやすいエラーコード

メールサーバ設定後に起こりやすいエラーを知っておくと、慌てずに対処することができます。主なエラーコードと原因、対処法を解説します。
550エラー
宛先間違いで送信できなかった場合のエラーです。「550 HostUnknown」もしくは「550 UserUnknown」と表示されるでしょう。「550 HostUnknown」と表示される場合は、ドメインの部分、つまり@以降の部分に誤りがある可能性があります。
一方、「550 UserUnknown」と表示される場合は、@より前の部分が間違っている可能性があります。正しく入力できているにも関わらずエラーが出続ける場合は、そのアドレス自体が削除されていると思われます。
551エラー
551エラーは、「551 User not local; please try [forward-path]」と表示されます。これは、宛先が無効である場合に表示されるため、まずは入力ミスがないか確認しましょう。正しく入力できているにもかかわらずこのエラーが出る場合は、送信先のメールサーバの契約が切れている可能性などが考えられます。
552エラー
552エラーは「552 Requested mail action aborted: exceeded storage allocation」と表示されます。これは、メールボックスの容量オーバーやメールサイズ(添付ファイルの容量)オーバーの可能性があります。添付ファイルをつけている場合は、圧縮するなどして容量を小さくし再送してみましょう。それでもエラーが出る場合は、送信先のメールボックス容量が一杯になっている可能性が高いです。送信先に他の手段で連絡をし、確認しましょう。
553エラー
553エラーは「553 Sender address rejected: not logged in」と表示され、メール送信時の認証設定に問題があることを示しています。特に多いのが、メールソフトの設定ミスです。例えば、「SMTP Auth」欄にチェックが入っていないなどが原因となります。
554エラー
554エラーは、メールサーバとの通信に問題が発生している時に表示されます。主な原因として、送信元IPアドレスがブラックリストに登録されている、または送信先サーバが受信を拒否しているケースが挙げられます。ブラックリスト登録の有無は、「MXToolbox」などの無料ツールでIPを入力すれば確認可能です。登録されていた場合は、リスト管理元に解除申請をおこないましょう。送信先サーバの拒否が原因の場合は、エラーメッセージ内の「policy violation」や「blocked」などの文言を確認し、SPF・DKIM設定の不備や大量送信制限を見直すことで改善できる場合があります。
メールサーバーに接続できない場合の対処法

「メールサーバに接続できません」といったエラーが出た場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。考えられる原因と対処法を解説します。
①インターネットに接続できない・不安定
インターネットに接続できなかったり、通信が不安定だったりすると、メールサーバに接続できなくなる可能性があります。まずはLANケーブルが正しく接続されているかを確認しましょう。それでも問題が解決しない場合は、プロバイダ側に障害が発生している可能性も考えられます。その場合、プロバイダの障害発生情報を確認すると良いでしょう。
②メールサーバー側のメンテナンス・障害などの不具合が発生している
メールサーバ側の障害発生やメンテナンスでメールが送受信できないことも考えられます。メールサーバのメンテナンス状況、障害状況などを確認してみましょう。
③ドメインやプロバイダー・メールアカウントの契約期限が終了している
プロバイダーとの契約が終了してしまい、利用が停止されている可能性もあります。メールアカウントやメールサーバを提供するプロバイダーとの契約内容や契約状況を確認してみましょう。特に、しばらく使用していないアドレスはこの可能性が高まります。
④メーラーの設定が誤っている
Webメールのアカウントでパスワードを変えたもののメーラーは変更前のままだった場合、更新がきちんと完了しない限り送受信できません。メーラーの設定を今一度確認し、誤りがないかチェックしてみましょう。
⑤セキュリティ対策ソフトによる接続不可
セキュリティ対策ソフトを導入した後に、メールの送受信に不具合が生じた場合は、このソフトが影響している可能性が高いです。外部接続の制限によりメールサーバに接続できなくなっているかを確認するため、一度セキュリティ対策ソフトを無効化し、変化があるかをチェックしてみましょう。
メール配信に関するお悩みは"アララ メッセージ"
メールサーバは、送信されたメールを処理し、宛先へ届ける役割を担っています。企業では自社でメールサーバを運用するケースもありますが、運用負担やセキュリティ対策が必要になることから、メール配信サービスを導入される場合もあります。
特に、大量のメール送信や、マーケティング目的で一斉配信をする場合、一般的なメールサーバでは制限がかかったり、到達率が下がるリスクが考えられます。そのため、専用のメール配信サービスを利用することで、より効率的かつ安定したメール送信が可能になります。
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まとめ
メールサーバは、メールの送受信を裏側で支える非常に重要な存在です。送信をおこなう「SMTPサーバ」、受信や保存を担う「POPサーバ」「IMAPサーバ」、そして宛先を照合する「DNSサーバ」という4種類のメールサーバが連携することで、私たちは日常的にスムーズなメールのやり取りを実現できます。
なかでも、複数端末でメールを同期できるIMAP方式のメールサーバは、スマ-トフォン利用が一般化した現在、最も主流の方式となっています。またメールサーバを利用するための設定では、サーバ名・ポート番号・ユーザー名・パスワードを正確に入力することがポイントです。設定ミスは送受信エラーの大きな原因となるため、入力内容の照合がとても重要です。万が一エラーが発生時は、設定ミスや通信障害、ブラックリスト登録などを確認しましょう。
さらに、大量配信や高い到達率が求められるビジネスメールでは、専用のメールサーバを備えたメール配信サービスの利用が効果的です。
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