ASPとは?意味や似た言葉との違い、サービスのメリットを分かりやすく解説
今回は”ASPサービス”について説明します。
ASPサービスのメリットや注意点もご紹介しますので、これからASPサービスの導入を検討されている方はぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.そもそもASPサービスとは?
- 2.その他の”ASP”について
- 3.ASPサービスの代表例
- 4.似た言葉との違いとは?
- 5.ASPサービスのメリット
- 5.1.いつでもどこでも利用可能
- 5.2.作業負担が軽減
- 5.3.バージョンアップ作業の手間がかからない
- 5.4.コストが抑えられる
- 6.ASPサービスのデメリット
- 6.1.インターネット環境が必須
- 6.2.カスタマイズが難しい
- 6.3.他の企業と共有のインフラ(共有サーバ)を利用している
- 7.ASPサービスの注意点
- 8.メール配信をASPサービスでおこなうことのメリット
- 9.ASPサービスのまとめ
- 10.ASPのQ&A
そもそもASPサービスとは?
そもそもASPが何かご存知ですか?
ASPとは”Application Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダ)” の略称です。ソフトウェアを実行するためのプログラムデータをインターネット上のクラウドに置き、インターネット回線を通じてプログラムデータにアクセスして、ソフトウェアを利用できるようにした仕組みのことを言います。
ひと昔前までは、ソフトウェアといえばパソコン本体一台ずつにインストールして利用するのが主流でしたが、インターネットの高速化に伴い、ASPサービスがどんどん普及しています。個々にプログラムデータを保有しなくても良くなったことで、ASPサービスはハードウェアとソフトウェアの関係性を変化させたといえるかもしれません。
最近ではスケジュールの管理ツールや家計簿ソフトなど、個人で利用するツールにもどんどんASPサービスが広まっています。
その他の”ASP”について
「ASP」という用語は上述でお伝えした”Application Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダ)”の略称以外に、異なる意味で使用されることがあるため注意が必要です。
- Affiliate Service Provider(アフィリエイト サービス プロバイダー)
WebサイトやWebサービスを提供する事業者向けに、自社サイトやサービスに広告を掲載したい媒体を仲介する事業者のことを指します。アフィリエイトとは自社サイトなどに紹介した商品やサービスをユーザが購入することで収益の一部が還元される仕組みのことで「成果報酬型広告」とも呼ばれています。
- Active Server Pages(アクティブ サーバー ページ)
Microsoft社が開発した、Webページの動的生成技術のことを指します。この機能によって生成されたWebページのファイルには「.asp」という拡張子が付きます。
- Average Sales Price(アベレージ セールス プライス)
サービスや商品の平均販売価格を指します。市場・競合調査などに使用され、小売業などでは価格改定の際などに重要な指標となります。
ASPサービスの代表例
EC業界では近年、低コスト・短期間で導入できるECサイト構築サービス「ASPカート」を導入する企業が増えており、ASPサービスがECサイト構築の方法の一つになっています。また、企業向けのサービスに限らず、ASPサービスは個人向けに提供されているものもあります。
以下がASPサービスの代表例です。
- 「Google Workspace」や「Microsoft Office 365」などのグループウェア
- 「Gmail」や「iCloud」などのメールシステム
- 「Zoom」や「Microsoft Teams」、「Skype」などのビデオ会議ツール
- 「Dropbox」や「Google Drive」、「One Drive」などのオンラインストレージ
似た言葉との違いとは?
ASPサービスを調べていると、「SaaS」や「クラウド」という言葉が出てくることがあります。 混同されやすいこれらの言葉とASPはどのように違うのかご紹介します。
SaaSとは?
SaaSは”サース”や”サーズ”と読み、”Software as a Service”を略した言葉で、クラウド上で使用するソフトウェアとしてのサービスを指します。 厳密にいうとASPはソフトウェアを提供する事業者に対して、SaaSはソフトウェアそのものを指しています。
ASPサービスが普及する中で、より新しい技術としてSaaSという名称が用いられることもありますが、日本国内においてはっきりとした区別はなく、一般的にはほぼ同義の意味として使われています。
クラウドとは?
クラウド(cloud)とは、「雲」を意味する英単語ですが、IT業界におけるクラウドは「クラウドコンピューティング」の略称でもあります。 クラウドとは「インターネットなどネットワークを経由して、ソフトウェアやデータを利用するコンピュータ資源の利用形態」のことを指します。 簡単に言うと「インターネットを経由して提供する技術や環境」となります。 先に記載したASPやSaaSを提供する技術や仕組みそのものを「クラウド」と呼ぶのです。
クラウドは、ASPやSaaSよりも後に使われ始めた言葉ですが、IT業界においては広く普及しています。 SaaS同様、似た意味を持つASP等と同じ意味合いで言葉が使われることがあります。
ISPとは?
ISPは‷Internet Service Provider”を略した言葉で、インターネットに接続するためのサービスを提供する事業者を指します。代表的な事業者として、NTTコミュニケーションズやソフトバンク、KDDIなどが挙げられます。ASPと混同しないように注意しましょう。
オンプレミスとは?
オンプレミスとは、システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、あるいはソフトウェアなどを自社で保有し、管理・運用するシステムの利用形態です。 オンプレミスとASPは以下のような違いがあります。
オンプレミス |
ASP |
|
サーバ |
自社内 |
クラウド環境 |
初期費用 |
高額 |
安価 |
導入までの期間 |
数週間から数か月 |
数分から数日 |
月額費用 |
固定 |
利用条件により変動 |
保守費用 |
必要 |
不要 |
カスタマイズ性 |
自由にカスタマイズ可能 |
制限あり |
他社システムとの連携 |
可能 |
制限あり |
情報セキュリティ |
堅牢にできる |
ベンダーのセキュリティレベルに依存する |
最新性 |
自社で常にメンテナンスや、定期的なシステムの入れ替えが必要 |
ベンダー側で常にアップデートを実施 |
障害対応 |
復旧に時間がかかる場合があるが、自社で障害の原因を特定できる |
迅速に復旧してくれるが、自社で障害の原因を特定することは難しい |
災害対策 |
自社で遠隔地へバックアップを用意するなど災害対策を講じなければならない |
冗長化による災害対策が施されている |
オンプレミスのメリットは、カスタマイズや他社システムとの連携が柔軟にでき、また自社でサーバを保有できるためセキュリティが堅牢になることです。
ただし、ASPに比べ、初期費用などのコストや運用・メンテナンスの負担が大きくなることがデメリットとして挙げられます。
ASPサービスのメリット
いつでもどこでも利用可能
インターネットの環境さえ整っていれば、使用するハードウェアを固定化する必要がないので、場所にとらわれず利用が可能です。オフィスのパソコンはもちろん、利用するASPサービスによっては個人のパソコンやスマホからも操作ができます。
作業負担が軽減
各パソコンにインストールする必要がないので、複数のパソコンで利用したい時でも手軽に利用がスタートでき、作業負担が軽減されます。
バージョンアップ作業の手間がかからない
ソフトウェアのバージョンアップをサービス提供者側が自動で行ってくれる製品が多いので、意識することなく最新のサービスを利用する事が可能です。
インストールが必要なソフトウェアを利用する際に、他のパソコンで利用しようとしたら古いバージョンだった…といった問題からも解消されます。
コストが抑えられる
自分(会社)のパソコンやサーバにインストールする場合、購入時に高額の費用が掛かることが多いですが、ASPサービスの場合は月額で課金されることが多く、導入時のコストを抑えることが可能です。
またインストールをする場合、新しいバージョンの製品が発売されると、新たに購入しなければならないことも多く、常に最新版が提供されるASPサービスはランニングコストも抑えることが可能です。
ASPサービスのデメリット
インターネット環境が必須
ASPサービスはインターネット環境を通じて利用するため、安定した通信速度が不可欠です。国内の主要都市を中心に、高速通信が可能なインフラ整備も充実してきましたが、地域や時間帯などによっては、通信環境が不安定にならないとは言い切れません。また、災害などでインターネット環境の接続ができなくなる可能性もあります。
さらにASPサービスを提供している企業側に何らかの障害が発生するとソフトウェアを使用することができず、日常業務が滞ってしまう危険性も否定できません。
カスタマイズが難しい
ASPサービスは、複数の企業がクラウドを通じて同じサービスを利用できることが前提です。そのため、提供している機能も普遍的に利用しやすい機能が主になり、個々の企業に合わせたカスタマイズや拡張は難しい場合がほとんどです。
導入時に必ず、不足している機能はないか、やりたいことは実現できるか、社内のフローに合わせた運用ができるかなど、要件を明確にし、合致したサービスを選ぶようにしましょう。
他の企業と共有のインフラ(共有サーバ)を利用している
ASPサービスはコストを抑えるために、「共有サーバ」で提供している場合が多いです。共有サーバとは、名前の通り自社のみが利用しているサーバではなく、ASPサービスを利用している他社も同時に使えるサーバです。
もちろん、他社の利用状況や個人情報などを確認することはできない仕組みになっていますが、セキュリティ面を懸念する企業もあるでしょう。特に、銀行や証券など秘密性の高い情報を扱う企業にとっては、導入が難しいかもしれません。そのような場合は、自社だけが利用できる「専有サーバ」を提供しているASPサービスを選ぶと良いでしょう。
「共有サーバ」に比べると費用は割高になりますが、セキュリティ面の懸念も払拭できます。
ASPサービスの注意点
利用中にASPサービスが終了するリスクがある
ASPサービス提供企業の倒産、ASPサービス自体の終了等により利用が継続できなくなるリスクがあります。継続ができなくなった際、ASPサービスの終了が事前に通知されるケースもありますが、提供企業の方針次第では、突然サービスの提供が終了する可能性も考えられます。
もし、使用しているASPサービスが急に終了してしまった場合、代替サービスに切り替える間の業務に支障をきたしかねません。ASPサービスを導入するときは安全と安定を求める意味でも、信頼のおけるサービス・企業かどうかしっかりと吟味しましょう。
セキュリティ面は提供会社に依存
利用データはインターネットのクラウド上に保存されるため、セキュリティ面は提供会社に依存する形となります。提供会社のセキュリティポリシーを確認したり、取り扱う情報の重要度を慎重に検討する必要があります。
注意しなければいけない点もありますが、それでも急速に広まっているASPサービス。背景としては各サービスに「手軽に、便利に」というニーズが社会的に高まっており、そこへ大量高速通信の普及が後押ししていると言えるでしょう。
メール配信をASPサービスでおこなうことのメリット
メール配信をASPサービスでおこなう場合のメリットとしては以下が挙げられます。もし自社で大量のメール配信をおこなうとしたら、大きな負荷がかかるため専用サーバや配信用のソフトウェアが必要となります。自社内で専用のサーバを構築するとなると、導入時に高額のコストがかかり、セキュリティ対策やプログラムデータの更新など、定期的なメンテナンスもおこなう必要があります。ASPサービスでメール配信を運用すれば、導入時のコストが安く抑えられ、運用のメンテナンスも不要です。
また、携帯キャリアやプロバイダは各社それぞれにメール受信のポリシーを持っていて、不定期に変更されることがあります。積極的にメンテナンスをおこなっているASPサービスであれば、定期的に最適化を行っているので、各社のポリシーに合わせた配信が可能です。
さらに、メールの作成・配信の承認・配信結果の集計などを複数名で行いたい場合もASPサービスであれば容易に運用することが可能です。
ASPサービスのまとめ
いかがでしたでしょうか?新たな製品やサービスを検討する際には、ASPサービスのメリット・注意点を総合的に判断してみるのが良いかもしれませんね。
当社の「アララ メッセージ」はASPサービスをご用意しております。ASPサービスは24時間365日のシステム監視体制をとっております。
メール配信やメールマーケティングに関するお悩みや課題がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ASPのQ&A
Q1.ASPとは何ですか? |
ASPとは、インターネット上でアプリケーションを提供するサービス事業者もしくは、サービスのことを言います。
Q2.ASPのメリットは何ですか? |
自社でシステムを開発する必要がないので、「コストの削減」や「作業やバージョンアップの手間」がかかりません。また、インターネット環境さえ整っていれば利用できるため「利用場所を問わない」点も挙げられます。
Q3.SaaSやクラウドとの違いは何ですか? |
ASPはサービスを提供する事業者を指し、SaaSはサービスそのものを指します。クラウドは、サービス(ASPやSaaS)を提供する技術や環境を指します。これらの言葉は、似たような意味を含んでいますが、それは、言葉が生まれたタイミングの違いによるものです。
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