
ASPとは?意味やSaaS・クラウドとの違いメール配信のASPについても解説
今回は”ASPサービス”について説明します。ASPサービスのメリットや注意点もご紹介しますので、これからASPサービスの導入を検討されている方はぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.ASPとは?
- 2.ASPサービスの代表例
- 3.類似用語との違い
- 3.1.SaaSとASPの違い
- 3.2.クラウドとASPの違い
- 3.3.ISPとASPの違い
- 3.4.オンプレミスとASPの違い
- 4.ASPサービスのメリット
- 4.1.いつでもどこでも利用可能
- 4.2.作業負担が軽減
- 4.3.バージョンアップ作業の手間がかからない
- 4.4.コストが抑えられる
- 5.ASPサービスのデメリット
- 5.1.インターネット環境が必須
- 5.2.共有サーバーを使用するリスクがある
- 6.ASPサービスを利用する際の注意点
- 6.1.カスタマイズが難しい
- 6.2.セキュリティ面は提供会社に依存
- 7.メール配信をASPサービスでおこなうメリット
- 8.ASPサービスのまとめ
ASPとは?
ASP(Application Service Provider)とは、アプリケーションソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス事業者のことです。利用者はソフトウェアを自分のパソコンにインストールする必要がなく、提供元のサーバーにアクセスすることでサービスを利用できます。
代表的な例として、ECサイト構築サービスやメール配信サービスなどが挙げられます。例えば、EC事業者はASP型カートを活用し、短期間・低コストでオンラインショップを立ち上げられます。また、メール配信においてもASPを利用することで、大量配信や効果測定などの機能を自社設備なしで利用できます。
なお、「ASP」という略語はアフィリエイト業界でも「Affiliate Service Provider」の意味で用いられますが、本記事ではアプリケーション提供型のASPに限定して解説します。
ASPサービスの代表例
EC業界では近年、低コストかつ短期間で導入できるECサイト構築サービス「ASPカート」を導入する企業が増えており、ASPサービスがECサイト構築の方法の一つになっています。また、メール配信サービスにもASP型があり、自社でサーバーを構築する必要がないため、初期費用を大幅に抑えて導入できる点が特長です。さらに、操作画面もシンプルなものが多く、専門知識がなくても運用できるため、中小企業や個人事業主にも広く利用されています。
ASPサービスは企業向けだけでなく、個人向けに提供されているものもあります。以下がASPサービスの代表例です。
- 「Google Workspace」や「Microsoft Office 365」などのグループウェア
- 「Gmail」や「iCloud」などのメールシステム
- 「Zoom」や「Microsoft Teams」、「Skype」などのビデオ会議ツール
- 「Dropbox」や「Google Drive」、「One Drive」などのオンラインストレージ
類似用語との違い
ASPサービスを調べていると、「SaaS」や「クラウド」という言葉が出てくることがあります。 混同されやすいこれらの言葉とASPは、どのように違うのかご紹介します。
SaaSとASPの違い
SaaS(サース/サーズ)は”Software as a Service”の略で、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスを指します。 厳密にいうとASPは「ソフトウェアをインターネット経由で提供する事業者」を意味するのに対して、SaaSは「ソフトウェアそのもの」を指す点に違いがあります。
ASPサービスの普及に伴い、より新しい技術や仕組みを表す言葉として「SaaS」が使われるようになりました。ただし、日本国内では両者を明確に区別せず、一般的にはほぼ同じ意味として扱われることが多いのが実情です。
クラウドとASPの違い
ASP(Application Service Provider)は、特定のアプリケーションソフトウェアをインターネット経由で提供する事業者のことです。一方でクラウド(クラウドコンピューティング)は、ソフトウェアやデータベース、サーバーなどのITリソースをインターネット経由で柔軟に利用できる仕組みそのものを指します。メール配信サービスにおいて、ASP型はあらかじめ用意された機能をそのまま利用する形式です。初期費用が安く、導入も簡単ですが、機能や画面構成に一定の制約があり、カスタマイズ性は低い傾向にあります。
一方で、クラウド型(PaaS寄り)のメール配信サービスは、API連携や画面設計などを自社要件に応じて柔軟に設計できます。開発工数や運用コスト、メンテナンス費用は高くなる反面、自社に最適化された環境を構築できる点が特徴です。このように、ASPは「完成された仕組みをそのまま利用する」イメージ、クラウドは「自社のニーズに合わせて構築・運用する」イメージと捉えると理解しやすいでしょう。
ISPとASPの違い
ASPがアプリケーションをサーバー経由で提供する事業者であるのに対し、ISP(Internet Service Provider)はインターネット接続そのものを提供する通信事業者です。たとえば、メール配信サービスを提供するASPが「使いたい機能(アプリ)を提供する事業者」であるのに対し、ISPは「そのアプリを使うためのインターネット環境を提供する事業者」と言えます。代表的なISPには、NTTコミュニケーションズやKDDI、ソフトバンクなどがあり、ASPとは役割やサービス領域がまったく異なります。
オンプレミスとASPの違い
オンプレミスとは、システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自社で保有し、管理・運用するシステムの利用形態です。 オンプレミスとASPは以下のような違いがあります。
オンプレミス |
ASP |
|
サーバ |
自社内 |
クラウド環境 |
初期費用 |
高額 |
安価 |
導入までの期間 |
数週間から数か月 |
数分から数日 |
月額費用 |
固定 |
利用条件により変動 |
保守費用 |
必要 |
不要 |
カスタマイズ性 |
自由にカスタマイズ可能 |
制限あり |
他社システムとの連携 |
可能 |
制限あり |
情報セキュリティ |
堅牢にできる |
ベンダーのセキュリティレベルに依存する |
最新性 |
自社で常にメンテナンスや、定期的なシステムの入れ替えが必要 |
ベンダー側で常にアップデートを実施 |
障害対応 |
復旧に時間がかかる場合があるが、自社で障害の原因を特定できる |
迅速に復旧してくれるが、自社で障害の原因を特定することは難しい |
災害対策 |
自社で遠隔地へバックアップを用意するなど災害対策を講じなければならない |
冗長化による災害対策が施されている |
オンプレミスのメリットは、カスタマイズや他社システムとの連携が柔軟にできる点に加え、自社でサーバを保有できるためセキュリティが堅牢になることです。ただし、ASPに比べ初期費用などのコストや運用・メンテナンスの負担が大きくなることがデメリットとして挙げられます。
ASPサービスのメリット
いつでもどこでも利用可能
インターネットの環境さえ整っていれば、使用するハードウェアを固定する必要がなく、場所を問わず利用できます。オフィスのパソコンはもちろん、利用するASPサービスによっては個人のパソコンやスマホからも操作可能です。
作業負担が軽減
各パソコンにソフトウェアをインストールする必要がないため、複数のパソコンで利用したい場合でも手軽に利用がスタートでき、作業負担が軽減されます。
バージョンアップ作業の手間がかからない
多くのASPサービスでは、ソフトウェアのバージョンアップを提供者側が自動で実施します。そのため、利用者は意識することなく最新のサービスを利用できます。
コストが抑えられる
自分(会社)のパソコンやサーバにソフトウェアをインストールする場合、購入時に高額な費用が掛かることがあります。一方、ASPサービスの場合は多くの場合、月額課金で提供されるため導入時のコストを抑えられます。また、新しいバージョンの製品が発売された際に再購入が必要になることもなく、常に最新版が利用できるためランニングコストも抑えられます。
ASPサービスのデメリット
インターネット環境が必須
ASPサービスはインターネット環境を通じて利用するため、安定した通信速度が不可欠です。国内の主要都市では高速通信が可能なインフラが整備されていますが、地域や時間帯などによっては通信環境が不安定になることもあります。また、災害などでインターネット接続ができなくなる可能性もあります。
さらに、ASPサービス提供企業側で何らかの障害が発生すると、ソフトウェアを使用することができず、日常業務が滞ってしまうリスクもあります。
共有サーバーを使用するリスクがある
運用コストの効率化を図るため、ASPサービスの多くは複数の利用者で同一サーバーを共有する方式で提供されています。共有サーバとは、名前の通り自社のみが利用しているサーバではなく、ASPサービスを利用している他社も同時に使えるサーバです。
もちろん、他社の利用状況や個人情報などを確認することはできない仕組みになっていますが、セキュリティ面を懸念する企業もあるでしょう。特に、銀行や証券など秘密性の高い情報を扱う企業では導入が難しい場合があります。そのような場合は、自社だけが利用できる「専有サーバ」を提供しているASPサービスを選ぶと良いでしょう。「共有サーバ」に比べると費用は割高になりますが、セキュリティ面の懸念も払拭できます。
ASPサービスを利用する際の注意点
カスタマイズが難しい
ASPサービスは、複数の企業がクラウドを通じて同じサービスを利用できることが前提です。そのため、企業固有の要件に応じたカスタマイズや機能拡張は難しい場合があります。
導入時に必ず不足している機能はないか、やりたいことは実現できるか、運用フローに適しているかなど、要件を明確にして合致したサービスを選ぶようにしましょう。
セキュリティ面は提供会社に依存
利用データはクラウド上に保存されるため、セキュリティ管理は提供会社に依存します。提供会社のセキュリティポリシーを確認したり、取り扱う情報の重要度を慎重に検討する必要があります。
メール配信をASPサービスでおこなうメリット
自社で大量のメール配信をおこなう場合、大きな負荷がかかるため専用サーバや配信用のソフトウェアが必要となります。自社内で専用のサーバを構築するとなると、導入時に高額のコストがかかり、セキュリティ対策やプログラムデータの更新など、定期的なメンテナンスもおこなう必要があります。ASPサービスでメール配信を運用すれば、導入時のコストが安く抑えられ、運用・保守の手間も軽減できます。
また、携帯キャリアやプロバイダは各社それぞれにメール受信のポリシーを持っており、不定期に変更されることがあります。積極的にメンテナンスをおこなっているASPサービスであれば、定期的に最適化をおこなっているので、各社のポリシーに合わせた配信が可能です。
さらに、メールの作成・配信の承認・配信結果の集計などを複数名でおこないたい場合もASPサービスであれば容易に運用できます。
ASPサービスのまとめ
ASPサービスは、初期費用を抑えながらも高機能なシステムをスピーディーに導入できる利便性があります。当社サービス「アララ メッセージ」では、APIを通じて基幹システムと連携し、パーソナライズ配信やトリガー配信、配信結果の自動取得まで一貫して実現できます。ECやCRMと連動した配信業務を効率化したい企業にとって、有力な選択肢となります。
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